クライアントワークの現場で見えてきたUXデザインの変化とアプローチ | セミナーレポート
2020年1月28日、東京・六本木のSpeee Loungeで開催された「BUSINESS & CREATIVE Vol.2 — クライアントワークの現場で見えてきたUXデザインの変化とアプローチ」に参加してきました。
時代によってUXデザインに求められる事が少しずつ変化してきているように感じます。クライアントワークだからこそ、感じている「UXデザインの変化」とその変化に対するアプローチを最前線の現場にいる私達からお届けします。
私は事業会社に勤めるデザイナーですが、クライアントワークだから“こそ”感じる「変化」というワードに興味があり、参加しました。
当日はクライアントワークで活躍する3名のUXデザイナー・ディレクター・PdMによるセッションが行われました。
UXデザインに求められる共感力とチームビルディング
- 2つの共感「ユーザーに共感してもらい、自社を共感してもらう」
- これらを繋ぐのがUXデザイナーに求められるスキル
→プロジェクト全体を見通し、社内事情と理想のユーザー体験の2つをうまく橋渡しする - 共感してもらうのに必要な力
- UXデザイナー→ユーザー:情報収集力、情報分析力
- UXデザイナー→社内:定義力、伝達力(ペルソナやCJMなどのフレームワークを定める力、伝達する力) - 顧客の威を借るUXデザイナー
- 理想論ばかりな印象になりがち。社内の声は聞けていますか?
- 各職種の目標を理解し、お互いの共通言語で話すのがチームビルディングの第一歩
→各職種の目標を理解し具体的かつ数字をともなって話し、ユーザーが求める価値を生み出す「仕組み」を設計する=UXデザイナー
組織や領域を超えて成果を出すチームづくりの設計方法
- 昔に比べ変化のスピードが飛躍的に加速。この変化に対応するため、
- ウォーターフォール開発 ⇒ アジャイル型
- クライアント→制作会社 ⇒ クライアント+制作会社=1つのチーム
→組織や領域を超えていく必要がある
組織や領域を超えたチームビルディングをするための10のポイント
- ベタだけど、キックオフで自己紹介を入れる
…プロジェクトでの役割、プロジェクト以外でどんな仕事してるか - ベタだけど、プロジェクト名をみんなで決める
…制作会社側がロゴなどもつくる - MTGでは、あえてミックスした席で座る
…対面だとクライアントと制作会社で分断されてしまう - 悩んでいるポイントも含め、途中経過を共有する
- コミュニケーションはオープンに
- スケジュールやプロジェクトリスクなど可視化する
…ここを見ればプロジェクトの最新が全てわかる状態にする - 共通言語を探る
…専門用語は使わない(例:ワイヤーフレーム→間取り図) - 予算・スケジュールのバッファを把握しておく
…プロジェクトの冒頭に把握しておくとよい - 場所を変えて気分転換する
…まとまった時間をとって合宿っぽく - うまくリリースができたら、リリース日に打ち上げをする
仮説駆動型UXデザインのススメ
- 仮説とはなにか?
- その時点での最善の推測を検証可能な形式にしたもの - なぜUXデザインで仮説を立てる必要があるのか?
- 組織のメリット:思い込みをなくしチームの共通理解を揃える
- プロダクトのメリット:ユーザーに使われないリスクを抑える - 仮説を正しく設定するためのポイント1 — 軸
「CPS仮説検証モデル」:3つそれぞれに仮説を立てる
- Customer(利用してくれるユーザーは?そもそも存在する?)
- Problem(ユーザーはどんな問題を抱えてる?問題を自覚してる?)
→ペルソナを定義し、シナリオをCJMなどを用い可視化することにより、顧客が抱える課題を特定する
→仮説はアップデートし続ける必要がある。なぜなら仮説だから。仮説を捨てる勇気も大事
- Solution(問題を解決する策は?解決できるか?)
→ステークホルダーやエンジニアを交えソリューションを検討するアクティビティを定期的に設ける
バリュー・プロポジションの作成 — 言い切ることが大事
(ユーザー)は
(コンテキスト)のときに
(ゴール)ができていないだろう。
(ソリューション)は
(競合または代替策)とは違い
(提供価値)をすることによって
(ユーザー)は
(ユーザーが得られる成果)することができる
- 仮説を正しく設定するためのポイント2 — 流れ
STEP1. CPSの軸に従って思い込みを洗い出す
…自信のないところを認めるのが大事。自信がなければ検証すればいい
STEP2. 検証可能な詳細な仮説に落とし込む
…シンプルかつ明確か?計測可能か?原因と結果の関係は明らかか?
STEP3. 仮説を検証するための方法を考え実行する
…仮説から生まれる「何を学ぶ必要があるか」を前提とし検証方法を考える
STEP4. 結果をまとめる
…仮説があっていたか間違っていたかを可視化し、次に検証すべき仮説を定義する - まとめ
1. 仮説ありきで進めることで、リスクが高い思い込みを早期に解消することができる
2. CPSの軸に従うことで、UXデザインで取り組むべきことの優先度が明確になる
今回の話をうかがって感じたのは、クライアントワークだから“こそ”の変化というのは正直そこまでなくて、クライアントワークでもインハウスでも同じような変化が訪れていると思いました。
[クライアント]-[制作会社]のような関係性は、インハウスにおける[プロダクト側]-[ビジネス側]のような関係でも起きますし、それをなくすためには「相手との共通言語で」や「組織や領域を超え」が解決の一歩になると考えます。
変化が加速しているなかにおいて、クライアントワークでもインハウスでも、変化に対応できる仕組みやナレッジ・準備をしておくことが大事であると感じました。