[書評]デザインリーダーシップ

Daisuke Hayashi
ProjectDD
Published in
4 min readMar 5, 2020

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書籍「デザインリーダーシップ — デザインリーダーはいかにして組織を構築し、成功に導くのか?」を読みました。

以前に読んだ「デザイン組織のつくりかた」がとても参考になる一冊だったので、同じシリーズ(と見受けられる)この書籍を買ってみました。

デザイナー・デザイン事務所経営者へ向けて書いた、類を見ない本です。いかにチームを作り、育てて、成功を手にするかを、一線で活躍中のデザイナーたちへのインタビューや、自身の経験に基づいてアドバイスしています。

正直に言うと、読んでいてもなかなか先に進まない一冊でした。理由は2つあるかなと思っています。

ひとつはターゲット。前書きにもある通り、この書籍のターゲットは「デザイナー・デザイン事務所経営者」。つまりデザイン会社・制作会社の社長・CEOがターゲットです。

以前読んだ「デザイン組織の…」は事業会社の中にデザイン組織をつくる話でしたので、インハウスのCCO・CXO・デザインマネージャーが主なターゲットでした。そして私もこのターゲットに当てはまります。

私はこのターゲットをしっかり把握せず、「デザインリーダーシップ」というタイトルと、前作がおもしろかった!という経験からポチッとしてしまいました。

よく考えればこの2冊の原著の著者はまったく異なる方なので、いくら出版社が同じで表紙が似ているとはいえ、前作という表現すら誤りですね。

一見双方のターゲットには共通点が多いように見えますが、インハウスのデザインマネージャーには関係ない(と感じてしまう)トピックも正直多かったです。「オフィススペースの重要性」「デザインリーダーも健康でバランスのとれた生活を」に関する章でしょうか。書かれているないように同意はできますが、今の私には関心がないトピックでした。

もちろん、参考になった部分も多々あるので、そこはこの記事の最後に記載しておきます。

ふたつめは文書構成です。この書籍が数多くの一線で活躍中のデザイナーリーダーへのインタビューで構成されているのですが、

「□□□□□□についてはこうだと思います」と△△社のCEO・〇〇は言います。
「・・・(以下、詳しいインタビュー)・・・」

↑ このフォーマットがひたすら繰り返されます。章のテーマに沿った〇〇さんの話が終わったら、間髪入れず☆☆さんの話、そして次の人…個人的に、このフォーマットへの読みにくさを感じました。

△△社、〇〇さん、☆☆さんが、全く存じ上げない方ばかりだったのも要因かもしれません。もしかするとUS等では有名なクリエイティブエージェンシーなのかもしれませんが、正直馴染みのない方たちばかりでした。

(こんなことツラツラ言っておいてなんですが)最後に「デザインリーダーシップ」を読んで良かったフレーズを5つピックアップします。

・文化を創造するためには、リーダーが容器を作り、そのなかに適切な人材を入れなければならない。その容器は組織のビジョンと価値観でできている。

・「私はCEOですから、私の顧客は実はチームなのです。私は、ここで働く誰もが必ず目標を達成し、最高の自分になれるようにしています」

・個人の強みを見つけるエクササイズと同じように、リーダーは自分たちの組織が何を得意としているかを問いかける必要がある。これはまた、自分たちの弱みを認識することにもなる。

・他の人の最高の力を引き出す能力は、自分の慣れ親しんだ思考法を捨てさることだ。他の人を新しい考え方に導くことが、彼らにさらなる成功を収めさせる第一歩である。彼らを自分の安全地帯から引っ張り出すことがデザインリーダーの仕事である。

・リーダーの仕事は創造のための手順を決めることではなく、創造性が生まれる場を作ることだ。

この書籍を手にするにあたっては、読者ターゲットに沿っているか(もしくはそこに関心があるか)と、文書構成が合うかをKindleの試し読み等で確認してから購入するのがいいかと思います。

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