デザインマネージャーがやっている13のお仕事

Daisuke Hayashi
ProjectDD
Published in
8 min readFeb 15, 2020

--

デザインマネージャーは何をやっている仕事なのでしょうか?

デザインマネージャーについて、書籍「デザイン組織のつくりかた」では次のように定義されています。

クリエイティブと人材マネジメントの両方に対して責任を負う。

とてもシンプルで納得感のある定義です。クリエイティブディレクターのような「デザインに対する責任」に加え「一緒に働くデザイナーの成長・成功」にも責任をもつということです。

もちろんこのような役割は、事業規模やフェーズ、企業文化や組織形態によって変わってきます。
職種名も「デザインマネージャー」「デザインディレクター」など似て非なるものがあったり、経営に携わっていれば「CXO」「CCO」と呼ばれたり様々です。

この記事では数社のJob Descriptionを参考にしながら、私のデザインマネージャーとしての普段の業務を洗い出し、日々やっている仕事を13項目にまとめてみました。何かの参考になれば幸いです。

1. デザインチームの戦略を立てる

事業やプロダクトのビジョンと照らし合わせ、数年先を見越しデザインチームとしてどの方向に向かっていくかの戦略を示します。デザイナーの活動やアプトプットが、どのようにビジネス・組織に貢献できるかを考え、デザイン的アプローチを用いて全体に関与していきます。

2. 本質的な課題を見つけ、新しい価値を創造する

顧客の声に耳を傾け本質的な課題や言語化されていない要求・問いを特定し、世の中にない価値を創造していきます。顧客側だけではなく、バリュープロポジションやビジネス上の課題とも向き合い、プロダクトをどの方向に導くか考えます。

3. デザインに関わるあらゆることを伝播する

デザイン・デザインの意図・デザイン戦略について、経営陣・ステークホルダー・メンバーへの説明責任を果たします。エヴァンジェリストとして、組織の中で信頼を得るため、デザイン的なアプローチを組織に組み込むため、デザインをプロダクトに組み込み世の中に届けるため、伝播し続けます。チームのプレゼンスを高め採用やブランディングに繋げるために、社外でも活動していきます。

4. 他部門との関係性を構築する

デザイナーだけで完結する仕事は「ない」と言っても過言ではありません。プロダクトマネージャー・エンジニア・マーケティング・エグゼクティブ…さまざまな部門との関係性を構築し信頼を得ることで、デザインチームとして携わることのできる範囲が広がっていきます。デザインマネージャーには協力的である姿勢が求められています。

5. デザインプロセスを整備する

デザイナーの働きやすい環境を構築します。複数のチームと協業していく中でのコミュニケーションパスを整理する事も、ワークフローを整備する事もそのひとつです。デザインツールなど新しいサービスが次々に出てくるなかで、チームにとってどのツールが必要かをデザイナーと一緒に見つけていく事も重要になってきます。

6. チームでパフォーマンスが発揮できる仕組みを作る

せっかくデザイナーが集まってチームを形成しているのであれば、チームでデザインしていくことのメリットを探っていきます。[1+1] が [2以上] になるために必要な仕組みを設けます。ここには良いチームの関係性を築くためのチームビルディングや環境作り、さらにはデザインマネージャーとしてのキャラクター作りも含まれてくるかもしれません。

7. デザイナーのキャリア発展を支援する

近すぎず遠すぎず(2〜3年後?)の将来、どんなデザイナーになりたいかを考えてもらいます。このキャリアプランを元にやりたいこと・伸ばしたいスキルを明確にし、どのようにすれば事業にも貢献でき、かつ成長できるかを一緒に考えます。時には職種・部門を変える異動などの選択肢も考える必要があるかもしれません。

8. 評価制度を理解し、目標を定め、評価する

デザイナーの給料を上げていくことも重要な仕事です。数字に重きが置かれている・行動指針が重視されるなど、会社の文化や評価制度を理解し、どのようにすれば評価されるかを考えます。それをもとに期初にデザイナーと目標をコミットし、期末に振り返りをします。どんな成果を上げ、どんな成長をしたか、評価者に伝えます。評価者が必ずしもデザイナーでないことを考慮することも必要です。

9. 新しいデザイナーを採用する

事業の成長を加味しながら採用計画を立てます。どのレベルのどんなキャラクターのデザイナーが何名必要かを明確に定義し、経営陣や上司とコミットします。採用ページに掲載するJob Descriptionを考え、人事部門と一緒に進めていきます。候補者を探してダイレクトスカウティングを行うこともあります。予算を確保しイベントに出展する事も検討する必要があるかもしれません。

10. 案件をアサインをする

デザイナーの長所・キャリアプラン・案件のスケジュールなどを考慮し、どの案件をどのデザイナーに作業してもらうかアサインをします。必要であればデザイナーをいくつかのチームに分ける、新しい職務をデザインチームに加えることも考えます。また、自身の後継者を指名することも重要なアサインのひとつです。

11. 優先順位を定め、作業の進捗を管理する

案件の優先順位を定め、デザイナーにしっかり伝えます。必要であれば交渉しスケジュールの再考をお願いすることもあります。終わったはずの案件の修正がパラパラやってくることもあります。そのときも何を優先するか明確にしておくと、デザイナーの心理的負担が和らぐかもしれません。また案件がスケジュール通り進捗しているか見守ります。時にはマイクロマネジメントを採用し管理をしていくことも必要になるでしょう。

12. 品質に責任をもつ

体験を含めたすべてのデザインの品質に責任を持ちます。プロダクトの前・中・後を考慮したエクスペリエンスを設計します。またブランド戦略・ユーザビリティ・ビジュアル・いわゆる見た目の品質も同様です。一定の品質を保つため、デザインの大原則 (Principle) や、狭義な意味でのデザインルールを定めるなど、レギュレーション策定も行います。

13. ときにひとりのデザイナーとして貢献する

突発的な欠員が出たり、キャパシティー以上の案件がやってくることもあります。イザというときはマネージャーが自ら手を動かすこともあります。腕が鈍らないように、日々何かしらの案件に関わっていることも大事かもしれません。もちろん環境によっては、常にプレイングマネージャーであることが求められることもあります。

私が感じる「得意・不得意・好き・嫌い」な項目

エラそうに13項目あげましたが、私自身すべてキッチリなんて出来ていません。上のレーダーチャートに私の「得意・不得意・好き・嫌い」をザックりとまとめてみました。

  • 戦略への関与や、他部署とのコラボレーションに苦手を感じる
  • プロセスやルールの策定、案件の管理が得意である

という感じでしょうか。この記事用につくったレーダーチャートでしたが、もっと関わらなければいけないところが可視化され、私自身のためになりました :)

上記の13項目は、私の業務内容がベースになっているので、みなさんの業務とマッチしない項目、抜けている項目もあると思います。

そしてまとめてみてUI/UXデザイナー・Webデザイナーの業務内容と、まったく異なる仕事が加わっていることがわかります。特にプロジェクト管理や人材マネジメントなど。
こうなると「デザイナーのキャリアアップの先がデザインマネージャー」に多くの方がピンとこないのも、わかる気がします。

私自身、事業会社のデザインマネージャーとして4年ちょっと務めていますが、いろんなことで悩んでいます。
そして、多くのCXO・デザインマネージャー、デザインマネージャーを目指している方と繋がりたいと思っています。ぜひいろいろお話しさせてくださいmm

English version of this article is here, “13 things to do as Design Manager”

--

--