ひとつの会社に長くいることへの葛藤を、得難い経験として捉えよう

Daisuke Hayashi
ProjectDD
Published in
5 min readJan 19, 2020

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今の会社に入社したのが15年ちょっと前。当時24歳だった私は、気づけばアラフォーと呼ばれる年になりました。そして入社してから異動することなくずっと同じ事業部に所属し、デザイナーとして働いていることもめずらしいことかもしれません。一方、ひとつの会社に長くいることで出てくる葛藤というのも正直あります。

  • 自分は他の会社で通用するのだろうか?
  • 居心地の良さというぬるま湯に浸かっているのではないか?
  • 社歴という武器を使ってラクをしているのではないか?

定年までこの会社で勤め上げるぞ!と決っしているのであれば、こんな不安は思わないでしょうが、そんなつもりは毛頭ない。大きな会社なので他の事業部に異動することもできますが、せっかく環境が変わるのであればガラリと変えたいよな…とも思ったりします。

今の仕事がつまらない、やりがいもない…であれば話はカンタンですが、むしろ逆。そりゃイラっとすることもありますが、日々充実していますし楽しいですし、15年も携わっているサービスには愛着もあります。

あと半年ほどで40歳になるという節目にいるので、今まで以上に自身のキャリアについて考える機会が多くなってきました。そんな葛藤をある方に話したら、このようなことを言われ少しハッとさせられました。

スタートアップでいうなら、これから大きく拡大を目指すフェーズから、メガベンチャーと呼ばれるフェーズに成長するまで、あらゆるフェーズでの仕事を経験できている。これは貴重な経験だと思いますよ。

15年間で事業はどんどん成長していった

私が入社した時、事業部の従業員数は80名ほど。当時は全員の顔と名前を覚えていました。それが数年もすれば、顔を見ても名前が出てこない人が増え、15年経つと従業員数も「0がひとつ増えた」規模になっていました。拠点も東京・大阪から全国各地に支社ができ、さらに海外にも進出していきました。

提供するサービスも次々に増えました。インハウスデザイナーとしては日々の改善が業務の中心になるのですが、新しいサービスの立ち上げや大きなリニューアルに関わる機会もそこそこあったことは貴重な経験です。そして今では日本のユーザーだけではなくもっと多くの方々に利用してもらえるよう、舞台を世界に移して日々仕事をしています。

15年間でデザイナーとしての役割も変わっていった

入社した時の私の仕事は、LPやキャンペーンページのデザインとコーディング(HTML/CSS)。それが(今で言うところの)UIデザインに自然とシフトチェンジしていき、さらに社歴を重ねていくうちにプロデューサーっぽいこともやるようになります。
さらにはオウンドメディアの立ち上げや記事の企画・執筆、「これからtwitterがきますよ!」なんて提案をして企業アカウントの中の人までやることもありました。このなんでもやっちゃう感じ、今振り返ればスタートアップっぽさがありました。

しかし組織が大きくなることで、仕事に深さ・専門性が求められてきます。twitterの担当から外れ、プロデューサーっぽい業務はプロダクトマネージャーという役職の誕生と共に消滅。オウンドメディアの業務からも離れ、フロントエンドエンジニアのグループを作ると言われHTML/CSSも書かなくなり…たくさん持っていた武器も、最後に残ったのはデザインだけになりました。

社歴とともに増えていった業務のジャンルの幅は、さらなる事業の成長とともに収束していく。これも得難い経験ですね。

次第に「リーダー」とか「サブマネージャー」という役職もつくようになりました。をっ、なんか肩書きついたじゃん!なんて思うくらいでしたが、「マネージャー」になるとやはり仕事への姿勢が変わったと感じます。メンバーを評価する=お給料を決めるというのは、今までとまったく異なる経験になっています。

15年間でデザイン組織の形態も変わっていった

事業の成長やそのとき事業がデザイナーに求めることで、デザイン組織もいろんな形態に変わっていきました。

「サービスを横断したひとつのデザイン組織」になっていることもあれば「各サービス付のデザイン組織」に分れることも。そしてまたひとつの組織に戻ったり、また分かれたり。
もしくは、BTCでいうところの「Business」に所属していたデザイン組織が、キャンペーンページのデザインを担当するグループがマーケ寄りの「B」へ、UIデザインを担当するグループが「Tech」へ分かれて配属されたり。

どっちがいい・悪いなんてことはなくて、それぞれにメリット・デメリットはあります。心情的にはデザイナーがひとつでまとまっていたいというのはありますが…でも、そんなデザイン組織の変化を味わえたことも、15年所属していたからこその経験かもしれません。

15年間ひとつの会社にいることを悲観するのは辞めよう

こんなことを話したり考えたりしていくなかで「ひとつのサービスに長くいる」ことを悲観するのは辞めようと思いました。もちろん自身の成長やキャリアというものは考え続けるけれど。

15年間、井の中の蛙だけにはならないようそれなりに勉強し続けてきましたし、外に向けてアンテナを立ててきましたし、成長し続ける事業のなかで仕事をしてきたわけですから。それに過ぎた15年の時を戻すことはできないし、15年間ひとつの会社に所属することもある意味マレですしね。

居心地の良さに甘えたり、社歴という武器を振りかざしてしまうこともあるかもしれないけれど、そういったことに気をつけながら、この15年間を得難い経験として捉えようと思いました。

※このブログ書きながら「あれ、これ退職エントリーか?」なんて思いましたが、決してそんなことはありません(笑)

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